「臨床実践の現象学会」設立 趣意書

1 趣旨

本会は、人々の経験や実践に関心を向け、それを捉え直すことを目指した研究に取り組んでいます。たとえば、日常的に行っている援助やケアと呼ばれる実践、教育に関わる実践、あるいは、病いや何らかの困難を抱えつつ生活する人々の経験などが相当します。これらの実践や経験には、その当事者でさえはっきり自覚していない事柄が内包されており、既存の理論や概念を用いて説明することには限界があります。そのため私たちは、一旦既存の理論や概念を棚上げし、事象そのものへと立ち返ることを要請する現象学を手がかりに、諸経験や実践の成り立ちにアプローチすることを試みてきました。

本会では主に、研究方法の検討や、現象学を手がかりとした記述的研究などの発表を受け、参加者の皆様とともにじっくり議論を行っています。この議論を通して、発表者は現象学的記述を洗練させ、同時に、参加者の各自が自身の見方や枠組み、実践の仕方を捉え直し、事象を探究するための視点を養います。

 

本会は、「臨床実践の現象学研究会」という名称で2009年2月1日に産声を上げ、以降、毎月1回のペースで研究会を開催してきました。本年度で6年目となり、2015年5月には第68回研究会を行いました。大学院生を中心に10名程ではじめた本会は、会員登録制となった現在(2015年5月時点)、登録者が約420名となりました。参加者の学問的・実践的背景は様々で、看護学、哲学、人類学、社会福祉学、心理学、社会学、教育学、工学などを専門にする研究者、あるいは、看護師、薬剤師、音楽療法士、理学療法士、舞踊などの実践家が領域を超えて活発に交流しております。また、本会へのニーズの高まりを受け、開催地も大阪と東京の2か所とし、より多くの方が参加しやすい態勢をつくってまいりました。そしてこのたび、名称を「臨床実践の現象学研究会」から「臨床実践の現象学会」へと変更し、より創造的かつ活発に活動していくことと致しました。

名称は変更しますが、これまでと同様、毎月1回の研究会を学会活動の基盤としていきます。これに加えて、年に1回の大会を行いますが、既存の学会スタイルにこだわらない、新しく柔軟な運営を目指していきます。

 

2 活動内容

1) 年1回の大会開催

2) 毎月の研究会開催

3) 定期的な活動の評価

その他、展望として学会誌やニュースレター等の発行を検討中

 

3 賛同人(敬称略・五十音順)

家高 洋(大阪大学)・池田 光穂(大阪大学)・大村 佳代子(三重県立看護大学)・グレッグ美鈴(神戸市看護大学)・河野 哲也(立教大学)・河野 由枝(国立循環器病研究センター)・小林 道太郎(大阪医科大学)・近田 真美子(東北福祉大学)・榊原 哲也(東京大学)・佐藤 光友(鳥取短期大学)・杉林 稔(愛仁会高槻病院)・西村 高宏(東北文化学園大学)・浜渦 辰二(大阪大学)・福田 俊子(聖隷クリストファー大学)・本間 直樹(大阪大学)・前川 幸子(甲南女子大学)・真継 和子(大阪医科大学)・松葉 祥一(神戸市看護大学)・村上 靖彦(大阪大学)・村川 治彦(関西大学)・守田 美奈子(日本赤十字看護大学)・山本 則子(東京大学)・鷲田 清一(京都市立芸術大学)